一定規模以上の事業所においては、衛生管理者を選任し、総括安全衛生
管理者を補佐させるとともに、衛生に係る技術的事項を管理させなければなり
ません。
◆衛生管理者を選任すべき事業所等
衛生管理者を選任すべき事業所は、常時50人以上の労働者を使用する事業
所です。
このうち、有害業務との関連の深い下記の業種は該当衛生管理者免許を
有する者から選任する必要があります。
資 格 |
業 種 |
第1種衛生管理者免許を有する者等 |
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業および清掃業に属する事業所 |
第1種または第2種衛生管理者免許を有する者等 |
その他有害業務との関連の薄い事業所 |
衛生管理者は、選任すべき事由が生じた日から14日以内に、その事業所
に専属の者を選任する必要があります。
ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、その衛生管理者の
中に労働衛生コンサルタントがいるときは、労働衛生コンサルタントのうち
1人については専属の者でなくてもよいことになっています。
選任すべき衛生管理者の数は、使用労働者の数に応じて、次の通りです。
事業場の規模 |
衛生管理者の数 |
専属の者 |
専任の者
(専属の者のうち) |
50人以上 200人以下 |
1人以上 |
ー |
200人超 500人以下 |
2人以上 |
500人超 1,000人以下 |
3人以上 |
1,000人超 2,000人以下 |
4人以上 |
1人以上 |
2,000人超 3,000人以下 |
5人以上 |
3,000人超 |
6人以上 |
常時500人を超える労働者を使用する事務所のうち、坑内労働または一定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの |
上記、事業場の規模に応じた人数 |
この員数は最低必要とされる員数です。したがって、人事労務管理上は、
衛生管理者がその職責を全うできるように、規模に応じて、その員数を増加
させることを考える必要があります。
さらに、上記の事業所のうち一定のもの(有害業務の範囲に注意)については
衛生管理者のうち少なくとも1人は、衛生工学衛生管理者の免許を受けた者
から選任する必要があります。
衛生管理者の代理者の選任、所轄労働基準監督署長に対する選任報告に
ついては、総括安全衛生管理者等の場合と同様です。
◆衛生管理者の資格
衛生管理者になることができる者は、おおむね次のとおりです。
1.医師、歯科医師等
2.労働衛生コンサルタント
3.衛生管理者免許試験に合格し、免許を受けた者等
4.衛生工学衛生管理者免許を受けた者
衛生工学衛生管理者免許を受けることができる者は、大学または高等
専門学校において工学又は理学に関する課程を修めて卒業した者で、
厚生労働大臣の定める講習を修了した者等です。
◆衛生管理者の職務等
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視して、作業環境や作業
方法等に非衛生有害な要因がないことを確認し、もし労働者の健康にとって
有害な影響を及ぼすおそれのあるような状態があったときは、直ちに必要な
措置を講じて、労働者の健康障害を防止するようにしなければなりません。
作業場等には、保健施設(休憩場所、食堂、炊事場、便所等)も含まれます。
このため、事業者に対しては、衛生管理者にこのような措置を講ずることが
できる権限を付与すべきことが義務づけられています。
衛生工学衛生管理者の職務は、総括安全衛生管理者が統括管理すべき
業務のうち、衛生に係る技術的事項で衛生工学に関するものを管理すること
です。具体的には、次のようなものがあります。
1.作業環境の測定およびその評価
2.作業環境内の労働衛生関係施設の設計、施工、点検、改善等
3.作業方法の衛生工学的改善
4.その他職務上の記録の整備等
◆衛生管理者の選任の特例
衛生管理者としての資格要件が厳しいため、時には使用する労働者の誰も
が衛生管理者の資格を有していない事業所が存在することが考えられます。
下記の場合には、所轄都道府県労働局長の許可を受け、特定の者を衛生
管理の業務に従事させることが認められます。
1.おおむね1年以内というような短期間の現場等であって、所定の衛生管理
者が得られないとき
2.衛生管理者の突然の死亡、退職等によって、欠員の充足に期間を要する
ことがやむを得ないと認められるとき(おおむね1年以内の期間)
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