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村岡社会保険労務士事務所
特定社労士 村岡 史章
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労働契約と就業規則対策室>トラブル・是正勧告>採用内定取消し等
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採用内定取消し等 |
1.採用内定取消し
採用内定通知等に採用内定取消事由が記載され、解約権が留保されて
いる場合がありますが、裁判例によれば、採用内定の取消事由は、解約権
留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当と
して是認することができるものに限られるとされています。
採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定
取消しは解雇に当たり、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての
規定が適用されます。
したがって、採用内定取消しについても、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして
無効となります。
上記のほか、採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、
採用内定取消しは、労働基準法第20条、第22条等の規定が適用されます。
このため、やむを得ない事情により採用内定取消しを行おうとする場合には、
使用者は解雇予告等解雇手続を適正に行う必要があるとともに、採用内定
者が採用内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、遅滞なく
これを交付する必要があります。
【裁判例】
採用内定の実態は多様であるため、その法的性質を一義的に論断する
ことはできないが、採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段
の意思表示が予定されていない場合、企業からの採用内定通知は労働者
からの労働契約の申込みに対する承諾であり、誓約書の提出と相まって、
就労の始期を定めた解約権を留保した労働契約が成立したと解する。
採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが
期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すこと
は、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会
通念上相当として是認することができるものに限られる。
(最高裁第二小法廷 昭和54年7月20日判決)
2.入職時期繰下げ
新規学校卒業者に対する事業主の一方的な都合による採用内定取消し
及び入職時期繰下げは、その円滑な就職を妨げるものであり、特に、採用
内定取消しについては、対象となった学生及び生徒本人並びに家族に計り
知れないほどの打撃と失望を与えるとともに、社会全体に対しても大きな
不安を与えるものであり、決してあってはならない重大な問題といえます。
このため、採用内定取消し、入職時期繰下げの防止等について考慮す
べき事項について「新規学校卒業者の採用に関する指針」を定めています。
また、やむを得ない事情により採用内定取消し又は入職時期繰下げを行おう
とするときは、あらかじめハローワーク等に通知を行うことが必要です。
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/jakunensha07/index.html#02)
<参考> 新規学校卒業者の採用内定取消しの防止
採用内定の際に定められていた入社日は変更しないものの、事業主の
都合により休業させ、実際の就業をさせない措置(自宅待機)を行う場合、
その期間について、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要が
あります。
事業主の都合により、採用内定の際に定められていた入社日を延期する
措置(入社日の延期)を行う場合、原則として採用内定者の合意を得る必要
があります。
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