| ◆療養補償(労働基準法第75条)
 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、
 その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければ
 ならない。
 2 前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で
 定める。
 
 ◆休業補償(労働基準法第76条)
 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために
 賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の
 100分の60の休業補償を行わなければならない。
 2 使用者は、前項の規定により休業補償を行っている労働者と同一の事業
 場における同種の労働者に対して所定労働時間労働した場合に支払われる
 通常の賃金の、1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び
 10月から12月までの各区分による期間(以下四半期という。)ごとの1箇月
 1人当り平均額(常時100人未満の労働者を使用する事業場については、
 厚生労働省において作成する毎月勤労統計における当該事業場の属する
 産業に係る毎月きまって支給する給与の四半期の労働者1人当りの1箇月
 平均額。以下平均給与額という。)が、当該労働者が業務上負傷し、又は
 疾病にかかった日の属する四半期における平均給与額の 100分の120を
 こえ、又は100分の80を下るに至った場合においては、使用者は、その上
 昇し又は低下した比率に応じて、その上昇し又は低下するに至った四半期
 の次の次の四半期において、前項の規定により当該労働者に対して行つて
 いる休業補償の額を改訂し、その改訂をした四半期に属する最初の月から
 改訂された額により休業補償を行わなければならない。改訂後の休業補償
 の額の改訂についてもこれに準ずる。
 3 前項の規定により難い場合における改訂の方法その他同項の規定による
 改訂について必要な事項は、厚生労働省令で定める。
 
 ◆障害補償(労働基準法第77条)
 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その
 身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金
 に別表第2に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければなら
 ない。
 
 ◆休業補償及び障害補償の例外(労働基準法第78条)
 労働者が重大な過失によって業務上負傷し、又は疾病にかかり、かつ
 使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合においては、
 休業補償又は障害補償を行わなくてもよい。
 
 ◆遺族補償(労働基準法第79条)
 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、
 平均賃金の1,000日分の遺族補償を行わなければならない。
 
 ◆葬祭料(労働基準法第80条)
 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に
 対して、平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならない。
 
 ◆打切補償(労働基準法第81条)
 第75条(療養補償)の規定によって補償を受ける労働者が、療養開始後
 3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、
 平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による
 補償を行わなくてもよい。
 
 ◆分割補償(労働基準法第82条)
 使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を
 得た場合においては、第77条(障害補償)又は第79条(遺族補償)の規定
 による補償に替え、平均賃金に別表第3に定める日数を乗じて得た金額を、
 6年にわたり毎年補償することができる。
 
 ◆補償を受ける権利(労働基準法第83条)
 補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。
 2 補償を受ける権利は、これを譲渡し、又は差し押えてはならない。
 
 ◆他の法律との関係(労働基準法第84条)
 この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法
 (昭和22年法律第50号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいて
 この法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合に
 おいては、使用者は、補償の責を免れる。
 2 使用者は、この法律による補償を行った場合においては、同一の事由に
 ついては、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。
 
 ◆審査及び仲裁(労働基準法第85条)
 業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その
 他補償の実施に関して異議のある者は、行政官庁に対して、審査又は事件
 の仲裁を申し立てることができる。
 2 行政官庁は、必要があると認める場合においては、職権で審査又は事件
 の仲裁をすることができる。
 3 第1項の規定により審査若しくは仲裁の申立てがあつた事件又は前項の
 規定により行政官庁が審査若しくは仲裁を開始した事件について民事訴訟
 が提起されたときは、行政官庁は、当該事件については、審査又は仲裁を
 しない。
 4 行政官庁は、審査又は仲裁のために必要であると認める場合においては、
 医師に診断又は検案をさせることができる。
 5 第1項の規定による審査又は仲裁の申立て及び第2項の規定による審査
 又は仲裁の開始は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。
 
 ◆不服申し立て(労働基準法第86条)
 前条の規定による審査及び仲裁の結果に不服のある者は、労働者災害
 補償保険審査官の審査又は仲裁を申し立てることができる。
 2 前条第3項の規定は、前項の規定により審査又は仲裁の申立てがあった
 場合に、これを準用する。
 
 ◆請負事業に関する例外(労働基準法第87条)
 厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合においては
 災害補償については、その元請負人を使用者とみなす。
 2 前項の場合、元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受け
 させた場合においては、その下請負人もまた使用者とする。但し、2以上の
 下請負人に、同一の事業について重複して補償を引き受けさせてはならない
 3 前項の場合、元請負人が補償の請求を受けた場合においては、補償を
 引き受けた下請負人に対して、まづ催告すべきことを請求することができる。
 ただし、その下請負人が破産手続開始の決定を受け、又は行方が知れない
 場合においては、この限りでない。
 
 ◆補償に関する細目(労働基準法第88条)
 この章に定めるものの外、補償に関する細目は、厚生労働省令で定める。
 
 
 
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